映画 SEOBOK(ソボク) 2021.07.16公開

出演:コン・ユ パク・ボゴム/監督:イ・ヨンジュ

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(あらすじ)

元エージェントで余命わずかなギホン(コン・ユ)は、人類初のクローン、ソボク(パク・ボゴム)をテロから守り、研究所からシェルターへ安全に護送することを条件に、自分の病をソボクの体内で作られるips細胞で治療してもらう約束をする。

 

しかし、護送中になにものかに襲撃され、ギホンはソボクを連れて逃亡することに。

研究所では@「人ではない実験体」という扱いをうけているソボクだったが、自分の生みの親である研究員イム・セウンを母と慕い、イム・セウンが事故で失った幼い息子の骨壺が納められている教会に行きたいとギホンにねだる。

イム・セウンは自分の息子を復活させるため、自分の遺伝子を使ってソボクを作ったのだった。

 

ソボクの研究所での生活を不憫に思うギホンだったが、ソボクは「自分には研究所しか帰るところ」が無いという。そして、ソボクの身体は、24時間に1回、細胞分裂の抑制剤を打たなければ死んでしまうのだった。

 

急ぎ研究所に戻ったギホンとソボクだったが、ソボクに待っていたのは、実験体としての運命だった。

 

(感想)

「あなたは本当に生き残る価値のある人間なのか?」
「なぜ、あなただけが特別に生き残らなければならないのか?人は皆死ぬのに」
 
ソボクがギホンに放ったその問いが、深く胸に刺さった。
 
豚はワクチンの原料を採取するために、死ぬまで実験台であり続ける。
人の命を守るために、自分固有の生を生きること許されない。
 
ソボクも同じだ。
 
人間が不死の命を手に入れるために、永遠に骨髄液を取られ続ける機械として生き続けなければならない。
 
ソボクは人間の形をしたクローンで、厳密には人間ではない。
ただソボクにも感情があり、「誰かの役にたちたい」と願う。
 
人間なら許されなくても、豚や動物なら人間の病を治す為に利用され続けることは、倫理的に許されることなのだろうか。
 
人が人の命をコントロールできるようになる、
コントロール権を握っているものが富を得、コントロール権を握っているものの意思で人の生死が左右されるようになる。
 
現在でも、新型コロナウイルスのワクチン供給が潤沢な国と潤沢でない国があり、
潤沢でない国ではたくさんの命が失われている。
これも、人の命をお金でコントロールしていることに他ならないのではないだろうか。
 
ソボクは、決して荒唐無稽な物語ではない。
 

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