映画 82年生まれ、キム・ジヨン

悪気の無い人が、人を傷つける

 
原作を以前に読んでいたのと、コン・ユが出演すると知って、早速映画版を見に行きました。
 
映画版のキム・ジヨンは、原作本とは異なって、
今と対峙する方法を見つけ、夫と共に生きていくというラスト・シーンで終わっていました。
 
映画のラストは決して暗くはないのですが、私は映画を見て愕然としてしまいました。
 
それは、悪気のない人の悪気のない言動が、人を傷つけ、追い込んでしまうということ。
 
キム・ジオンの夫デ・ヒョンは、どちらかというと妻と子ども想い。ジオンが働きたいと言えば育児休暇まで取ろうとするぐらい。
なのに、何気ない一言でジオンを傷つけてしまう。
 
ジオンの家族だって、姑だって、同僚やカフェで出会った人たちだって、決して悪人ではない。なのに、どうしてこんなに人を傷つけてしまうのだろう?
 
社会のシステムが悪いから?
個人主義が進んだから?
 
そんな言葉で片付けたくはない。
 
誰の行動も、人を傷つけてしまう可能性が必ずあるのだ。
でも、それが何度も何度もその人を傷つけると、ついにはずたずたになってしまうのだ。
 
この問いに対する解決策は思いつかない。
でも、自分はどうしたらいい?どうすべき?に対する答えはある。
 
人を傷つけることを恐れ過ぎると何もできない。
その代わり、時に人に対してとびっきり優しいことをしてみよう。
 
そうすれば、ずたずたになる前に、いくつかの傷を、癒してあげられるかもしれないから。
 

 

82年生まれ、キム・ジヨン (単行本)

82年生まれ、キム・ジヨン (単行本)