家の相続 所有権移転登記を自分でやってみた

こんにちは。
相続で一番面倒な、家や土地の所有権移転を自分で申請した体験談をお伝えします。(2021年6月現在の情報です)
 
土地や家屋の規模にもよりますが、所有権移転登記には、課税価格に0.4%程度の登録免許税がかかります。
 
例えば、課税価格2,000万円の不動産であれば、
20,000,000×0.004=80,000円
で、8万円を法務局に納めなければなりません。
 
そのうえ、手続きを司法書士さんに依頼した場合、相場では不動産1件あたり、5万円~10万円の報酬を支払う必要があります。
 
我が家は、86歳の父が、それまで持ち家がなかったので、せめて母に家を残してあげたい一心で60歳を過ぎてから住宅ローンを組んで家を買いました。そんな父が残してくれた家の名義を、妻に変更するだけでそんなにお金がかかるなんて、理不尽な気がしたので、司法書士さんの費用だけでも節約しようと思い、自力で書類を集め、法務局に所有権移転登記申請をました。
 
なんと、やってみたらすごく簡単だったので、ぜひ皆さんも自力でやってみることをお勧めします!
高齢者1人あたりの月平均消費額が約14万円ですから、5~10万円の節約はばかにならないと思います!
 
もくじ
1 法務局のホームページを確認する
2 遺産分割協議書を作成する
3 戸籍謄本、印鑑証明書、課税通知書を集める
4 登記申請書を作成する
5 法務局に相談する
6 登記を申請する
 
1 法務局のホームページを確認する
 
所有権移転登記については、法務局のホームページに、申請書の書き方や揃える書類など、詳しく出ています。聞き慣れない用語が出てきても丁寧に説明が加えられているのでとてもわかりやすいです。
 
申請書の様式は、相続の形態で異なっています。
遺言による相続なのか、民法で定められた割合どおりの相続なのか、遺産分割協議書を作成して話し合いで相続割合を決めたのか、などによって異なりますので、該当するものを選んでください。
 
法務局トップページ>不動産登記申請手続>不動産の所有者が亡くなった
 
また、法務局のホームページには、所有している不動産を所管する法務局の場所も調べることができます。
登記の申請は所管する法務局にしかできないので、よく確認しておきましょう。
 
法務局トップページ>管轄のご案内
 
 
2 遺産分割協議書を作成する
 
遺産分割協議とは、相続人全員が話し合って誰がいくら、何を相続するかを決めることです。それを書面に記載したものが「遺産分割協議書」になります。
相続人全員の署名と実印の押印が必要になります。
所有権移転登記をする時には、この遺産分割協議書の原本かコピーが必要になります。
また、相続割合を記載した大切な書類なので、人数分作成し、各人が保管しましょう。
 
実印を登録していない人は、ご自分の住所のある市区町村で実印にする印鑑を持参して、印鑑登録をしてください。その際、印鑑登録証明書も交付してもらってください。
 
  
3 戸籍謄本、印鑑証明書、課税通知書などを集める
 
以下は、私が添付した書類です。必要書類は相続の形態により異なるようなので、法務局のホームページで確認してください。
 
①遺産分割協議書
被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの経過の記載が分かる戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)、除籍全部事項証明書(除籍謄本)
③遺産分割協議書に記載した相続人全員の戸籍全部(一部)事項証明書(戸籍謄抄本)(被相続人が死亡した日以後の証明日のものが必要)②と重複するものがある場合は1通で良い。
④遺産分割協議を行った相続人全員の印鑑証明書(当該協議書に押印された印鑑の証明書。作成後3か月以内のものでなくても可)
被相続人の最後の氏名及び住所が登記記録上の氏名及び住所と異なる場合や被相続人の本籍が登記記録上の住所と異なる場合は、被相続人が登記記録上の登記名義人であることが分かる被相続人の本籍の記載のある住民票の除票又は戸籍のの写し等が必要。
相続することになった相続人全員の住民票の写し(マイナンバーが記載されていないもの)(住民票コードを記載した場合は提出する不要)
⑦申請する不動産の課税価格がわかる書類(市区町村で発行された課税通知書のコピーで良い)
 
この中で、戸籍を集めるのが一番面倒でした。
亡くなった父は奈良県生まれ、現在の戸籍の所在地は東京都です。
 
まず、現在の戸籍のある市区町村で戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)、除籍全部事項証明書(除籍謄本)を取ると、1つ前はどこの戸籍から異動してきたかがわかります。
父は出生地の奈良県から現在の住所地に転籍してきたので2か所で済みましたが、転籍を何度かしている場合には、その全ての市区町村で戸籍を申請して集める必要があります。
 
また、戸籍法が平成6年に改製になっているせいで、戸籍には、「改製原戸籍(古いもの)」と現在の戸籍の2種類があります。相続の場合には2種類とも必要になりますのでご注意ください。
 
遠くの市区町村の場合は郵便で戸籍の請求ができます。
切手と手数料(郵便局の定額小為替)を同封すれば、交通費をかけるより安く済むし、混雑した窓口で待つことも無いのでお勧めです。
申請書類や手数料の金額は、市区町村のホームページに出ています。
 
また、申請の仕方や申請書の記載方法がわからない場合は、相談にものってくれるので活用してください。
 
※法定相続情報証明制度を利用している場合は、法定相続情報一覧図の写しを提出することで,被相続人が死亡した事実が分かる被相続人の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)又は除籍全部事項証明書(除籍謄本)並びに相続人であることが分かる相続人の戸籍全部(個人)事項証明書(戸籍謄抄本)の添付に代えることができます。法定相続情報証明制度の具体的な手続については,こちらを参照してください。 

「法定相続情報証明制度」について:法務局

 
 
4 登記申請書を作成する
 
下記からダウンロードして書類を作成します。
記載の仕方は、(注)が詳細についていますのでわかりやすいです。
 
法務局トップページ>不動産登記申請手続>不動産の所有者が亡くなった
 
不動産免許税を計算します。
計算方法は申請書の記載例の中に参照のアドレスが記載されています。
不動産免許税が免除になる場合もあるので、確認してください。
 
法務局トップページ>不動産登記申請手続>不動産の所有者が亡くなった>課税価格、登録免許税の計算方法
 
 
5 法務局に相談する
 
今回私は利用しなかったのですが、法務局では事前相談を行っています。
自分の場合、どの形状の申請書を作ったらよいのかなど登記の仕方がわからない場合、法務局の職員が相談に乗ってくれますので、申請書を作成する前にぜひ利用してみてください。
現在はコロナ禍で、事前予約制になっていました。
 
相談は実際に書類を提出する、相続する不動産の所管の法務局で受けてくださいね。
 
 
6 登記を申請する
 
 申請時に必要な書類は、「3戸籍謄本、印鑑証明書、課税通知書などを集める」で集めた添付書類と、「4登記申請書を作成する」で作成した申請書です。登録免許税は、法務局に印紙売り場があるので、現地で購入できます。
 
 ①申請書
 ②添付書類
 ③免許税の金額の収入印紙(法務局で購入できます)
 
※申請は、申請人本人でなくても可能ですし、書類を持ってきた人が誰なのか、身分証明書を求められることもありませんでした。
 
※ただし、登記の完了通知の受け取りは本人になります。本人が受け取りに行けない場合は、申請時にもらう受取書の裏面が委任状になっているので、委任された人が受け取ることができます。
 
受取時に必要なもの
①受取書、②申請書に押印した印鑑、③委任状(申請者本人でない場合のみ)、④代理人の身分証明書
 
※受取時には①登記証、②登記識別情報通知、が交付されます。登記識別情報通知は登記のマイナンバーのようなもので、本人を確認するための12桁英数字です。今後、登記をする際には必要になるので大切に保管しましょう。また、受取時に一緒に登記簿謄本を請求しておくと、登記変更後の登記簿の記載内容を確認しておくことができます。