#書評#トコロジスト

トコロジスト

 自然観察からはじまる「場所の専門家」

  箱田敦只:著

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今日、八王子市にある父のお墓に行ってきました。

昨夜の雨でぬれたせいで、墓石は朝日を浴びてキラキラ光り、

お供の花の匂いに誘われた蜂が、あちこち飛び回っていました。

よく見ると、蜂に混じって赤トンボの姿も・・・

赤とんぼって、9月とか10月に平地で見られる昆虫ではなかったっけ?

やっぱり温暖化の影響なんでしょうか?


さて、トコロジストとは、場所を指す「所」に、「~をする人」という意味の「ist」を付けた造語で、日本野鳥の会の浜口哲一さんが唱えた「場所の専門家」という考え方に、同じく日本野鳥の会の田端裕さんが命名したものです。

本書の著者である箱田さんも日本野鳥会議の職員ですが、仕事柄、トコロジストになった訳ではなく、ご自身のお子さんが自然を怖がり、自然と向き合えていない現実に直面し、これではいけないと、近所の森を散歩するようになったのがきっかけでした。


トコロジストはその場所に何度も何度も足を運び、生き物や自然の変化に気づき、の場所の歴史や文化まで、その場所のことなら誰にも負けない知識を有する人です。
いや、知識というよりも、誰よりもその場所のことを大好きな人のことだと私は思っています。

私にとってただの父のお墓への道程でしかなかった並木道も、トコロジストになったつもりで良く観察してみると、先週より銀杏の葉が色づき、青い空も澄みわたり、全てが見違えるように美しく見えます。

同じ地球に住んで生を全うするならば、美しいものに囲まれて暮らした方が幸せです。

それが自分のものの見方ひとつで手に入れられるのであれば、そんな素晴らしいことはないのではないでしょうか。

 

ぜひあなたも、トコロジストの世界をのぞいてみてください。