依存症ビジネス~「廃人」製造社会の真実 書評

著者:デイミアン・トンプソン 2014年10月9日

 

 

神経伝達物質であるドーパミンは、「好き」という衝動よりも「欲しい」という衝動のほうに深く関わっているらしい。だから、本当はそんなにカップケーキの味に魅せられている訳でもないのに、「食べたい」という欲望に勝てずについ手を出してしまう。

 
というより、食べてしまった後は罪悪感から吐き戻してしまったりする。
 
つい、アルコールに手を出してしまう人も、最初の1~2杯を過ぎたお酒の味にそんなに魅力を感じてはいないし、煙草とてそんなに美味しい訳でもないだろう。
 
それでも人は、自分を良い気分にするもの、それを得た時に自分に報酬を与えてくれるものを「欲しい」と思ってしまう。
 
例え、酔っぱらって最悪な気分が待ち構えているとわかっていても、一時の快楽を求めてしまう。
 
 
この「欲しい」の強い欲求を利用して様々な依存症ビジネスがはびこる。
甘いもの、酒、煙草、ドラッグ、スマートフォンやインターネットのサービスなどにも依存症ビジネスが入り込んでいる。
 
自分はひとたび「欲しい」と思ったら、手に入れるまで強烈にそのものに捕らわれてしまうことを、肝に銘じよう。
そう、強さの大小はあるが、人間の特性なのだから仕方ない。
 
だから、自分の特性を見抜いて、「今、欲しいに捕らわれている」と自覚することで、欲しい気持ちを減退させよう。いつも成功するとは限らないけれど、中毒に陥ることは防げられるだろう。
 
ここまで、とルール化するのもいいかもしれない。
 
自分は依存症になんかならないと思っているあなた。あなたが一番危険です。