ユヴァル・ノア・ハラリ:著 柴田裕之:訳
内容
しかし、立ち止まって考えてみると、自己とは何なのだろうか?
それがわからなくては、AIのアルゴリズムに従って選択しているだけなのか、自己の自由意思に従って生きているのかわからないではないか!
これが著者の問いかけである。
この問いかけに対し、
21の視点から自己とは何か?
今、何が起こっているのか?
今日の重大な課題や選択は何か?
私たちは何に注意を向けるべきか?子供達に何を教えるべきか?
このグローバル社会を生きていくにはどうしたら良いかを考察していく。
1 幻滅
2 雇用
3 自由
4 平等
5 コミュニティ
6 文明
7 ナショナリズム
8 宗教
9 移民
10 テロ
11 戦争
12 謙虚さ
13 神
14 世俗主義
15 無知
16 正義
17 ポスト・トゥールース
18 SF
19 教育
20 意味
21 瞑想
著者は初めは、AI時代の雇用や平等、コミュニティなど現実世界の問題を考察していくが、章が進むにつれ、SF、意味、瞑想と、「自己とは何か?」の核心に迫っていく。
筆者は、20意味 にページの多くを費やし、こう結論付ける。
これまでのところ心がどのようにして脳から現れるのかはまったく説明できずにいる。
私たちは自分の外の世界を支配していないし、自分の身体の中のことも支配していない。自分の脳さえ支配していない。私たちは自由意志など持っていなく、生物学的ブロセスの産物なだけだ。
だから、ただただ浮かんでは消える意識を観察し、自分自身とは何者なのかを知る旅に出よう。
自由意志という幻想を捨てると深い好奇心がわいてきて、これ以上ないほどの胸踊る発見の旅の始まりとなる。」
幸せポイント
人間が人間たる所以は、物語を作りだし、信じることができること。
聖書も政治も虚構にすぎないが、信じることで集団のアイデンティティを形成するのを助けたり、団結したり、大規模なコミュニティを結束させたりできる。
しかし、その物語に夢中になり過ぎてしまうと、外の世界のことは見えなくなってしまい、物語の内だけが正義であると勘違いしてしまう。
所詮、物語は人間が作り出した虚構に過ぎない。
そして、物語を作った人間自身に自由意思というものがないのなら、物語の内と外との衝突などは意味をなさないはずだ。
心を解き放って、あらゆるバイアスから自由になったら、どんな未来が見えてくるのだろう。